制限値幅とは?ストップ高・安の仕組みと4倍拡大ルールをわかりやすく解説

経済・投資

「買いたいのに買えない」そんな株に出会ったことはありませんか?
株式市場には、投資家のパニックや過度な価格変動を防ぐためのルールが設けられています。

今回は、知っているようで知らない「ストップ高・安」の仕組みと、特定の条件下で発生する「制限値幅の4倍拡大」という特殊ルールについて、具体的な事例を交えてやさしく解説します。

制限値幅とストップ高・ストップ安

株式市場では、株価が1日で動いてよい範囲があらかじめ決められています。これを「制限値幅(値幅制限)」と呼びます。  

よく耳にするストップ高やストップ安は、この制限値幅が限度いっぱいに達した状態を指します。上限まで株価が上がりきった状態が「ストップ高」、下限まで下がりきった状態が「ストップ安」です。

制限値幅は、前日の終値を基準に決まります。制限値幅は以下の通りです。  

前日終値制限値幅
100円未満±30円
200円未満±50円
500円未満±80円
700円未満±100円
1,000円未満±150円
1,500円未満±300円
2,000円未満±400円
3,000円未満±500円
5,000円未満±700円
以下略

例えば、前日終値が1,000円の株の場合、制限値幅が±300円になるため、その日の取引価格は700円から1,300円までに制限されます。

制限値幅が4倍になる条件

制限値幅は、株価が短期間で大きく動くのを防ぐために設けられたルールです。

しかし、制限値幅があることで、別の問題が起きることもあります。それが、買い注文や売り注文が一方向に極端に偏り、株価が上限や下限に張り付いたまま、まったく売買が成立しなくなる状態です。こうした状態を「寄らず(寄り付かず)」といいます。

こうした状態が2営業日続くと、一時的に制限値幅が拡大されます。

具体的には、国内の株が2営業日連続で以下のいずれかに該当した場合に適用されます。

 (1) ストップ高(安)となり、かつ、ストップ配分も行われず売買高が0株
 (2) 売買高が0株のまま午後立会終了を迎え、午後立会終了時に限りストップ高(安)で売買が成立し、かつ、ストップ高(安)に買(売)呼値の残数あり

これらに該当すると、翌営業日の制限値幅は通常の4倍に拡大されます。ただし、拡大されるのは取引が成立しない原因となっている側(ストップ高なら上限、ストップ安なら下限)だけです。 反対側の制限は通常通りのまま維持されます。

なお、その日の取引で一度でも売買が成立すれば、翌営業日からは通常の制限値幅に戻ります。

マックハウスの事例

この仕組みが分かりやすく表れたのが、衣料品販売を手がけるマックハウス(現:ジーイエット株式会社)の株価です。

2024年6月12日、同社がビットコインを保有する方針を発表したことを受け、買い注文が一気に集まりました。その結果、株価は2営業日連続でストップ高となり、いずれの日も売買が成立しない状態が続きました。

具体的に見ていくと、12日の終値は115円で、この水準(100円以上200円未満)における制限値幅は±50円です。翌13日は上限の165円、14日はさらに215円まで上昇しましたが、いずれも売り手が不足し、取引は成立しませんでした。

寄らずのストップ高が2営業日連続で続いたため、3営業日目となる17日は制限値幅が4倍に拡大されました。14日の終値215円に対する本来の制限値幅は±80円ですが、この日は上方向のみ320円まで拡大し、株価の上限は535円となりました。 なお、下限の制限値幅は通常通り80円のままです。

17日はついに売買が成立しましたが、株価は最終的に拡大された上限である535円まで上昇し、結果として3営業日連続のストップ高となりました。

ただし、18日は前日に一度売買が成立したため、4倍措置は解除され、制限値幅は通常の±100円に戻りました。

おわりに

制限値幅は、株価の急変動から市場を守るための仕組みですが、状況によっては大きな値動きを生むきっかけにもなります。こうした局面は、うまく捉えればチャンスになる一方で、思惑と逆に動けば大きなリスクにもなります。

株価の動きだけに目を向けるのではなく、制限値幅や4倍措置といった市場ルールを知っておくと、相場の変化をより冷静に捉えやすくなります。

【参考資料】
東京証券取引所 株式部『制限値幅の拡大運用の一部見直しについて
日本取引所グループ『内国株の売買制度 制限値幅
日本取引所グループ『制限値幅拡大

執筆者:鍛治田祐子

■ファイナンシャルプランナー

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