「お金を2倍にするには、どれくらいの期間がかかるの?」
そんな疑問を、たった1つの数字でざっくり計算できるのが72の法則です。
投資や貯蓄の世界ではよく知られている考え方で、難しい数式を使わなくても、利率と年数の関係を簡単につかむことができます。
今回は、72の法則の使い方や実際の資産運用での活かし方をわかりやすく解説します。
単利と複利
資産運用などでお金が増える仕組みには、単利と複利の2種類があります。
- 単利:最初に預けた元本に対してのみ利息がつく
- 複利:元本に利息を加えた合計額に対して次の利息がつく
例えば、100万円を年利5%で運用した場合、単利だと毎年5万円ずつ利息がつきます。
一方、複利では1年目は5万円、2年目は1年目の105万円(元本+利息)に5%を掛けた5.25万円の利息がつき、少しずつ増え方が大きくなっていきます。
同じ利率でも、単利は一定の金額を積み上げていくのに対し、複利では利息がさらに利息を生むため、時間が経つほど増え方に大きな差が生まれます。
72の法則では、この複利の効果をもとに計算するものであり、単利には当てはまりません。
72の法則とは?
72の法則とは「お金が2倍になるまでの年数」や、「お金を2倍にするために必要な金利」を簡単に計算する方法です。複利で運用した場合のおおよその目安を把握することができます。
72の法則の計算式と使い方
必要な年数や金利は以下の計算式で求めます。
元本が2倍になるまでの年数
「72÷金利(%)≒元本が2倍になる年数」
一定期間でお金を2倍にしたいときの金利
「72÷元本が2倍になる年数≒金利(%)」
身近な例で計算してみましょう。
①お金を運用して2倍になる年数を求める
例えば、年利4%で株式投資を運用した場合。お金が2倍になるまでの年数は、次の計算式で求めることが可能です。
計算式:72÷4(利回り)=18(年数)
年利4%で複利運用できれば約18年で元本が2倍になります。
②お金を2倍にするために必要な利回りを求める
例えば、5年でお金を2倍にしたい場合。どのくらいの利回りが必要なのかは、次の計算式で求めることが可能です。
計算式:72÷5(年数)=14.4%(利回り)
5年という短い期間で2倍にするには約14%という高い利回りが必要になります。
72の法則が教えてくれる3つの視点
72の法則は、単に計算するだけでなく資産形成のスピード感を掴むことができます。
お金を増やす最大の武器は時間
年利が2%でも36年運用すれば元本が倍になるように、利回りが小さくても、年数を長く取ることができれば、2倍の目標は達成しやすくなります。
特に20代や30代の若い世代にとって、時間は最大の資産です。少額からでも早く始めることで、複利効果を最大限に長く受けられ、高い利回りを追い求めなくても、着実に資産を増やすことができます。
高い利回りには高いリスクが伴う
5年で2倍というような高い目標を立てた場合、必要な利回りも高くなります。一般的に高い利回りを謳う金融商品は、元本割れや価値の急落といった高いリスクを伴います。
72の法則で逆算した目標利回りが現実的か、そしてそのリスクを許容できるかを判断する指標とすることができます。
借金やローンにも当てはまる
72の法則は、お金を増やすときだけでなく、お金を借りるときにも役立ちます。
例えば、年利18%のリボ払いやカードローンを利用している場合、利息にも利息がかかるような形で支払いが増えていき、約4年で元金と同じ額の利息を支払う計算になります。お金を借りる際の金利の恐ろしさも、この法則で知ることができます。
おわりに
72の法則は、私たちが漠然と持っているお金が増えるイメージを具体的な年数と利回りに変換してくれます。
あくまで概算であり、厳密な期間や利回りを知るものではありませんが、ざっくりとしたお金の成長スピードをつかむには非常に便利な考え方です。 金融商品を比較するときや、長期運用の計画を立てるときにぜひ使ってみてください。
【参考資料】
J-FLEC金融経済教育推進機『(高校生向け)大人になる前に知っておきたいお金の話』
日本FP協会『映像教材 単利と複利・72の法則』


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