人間と同じように、ペットも病気になったり、ケガをすることがあります。そんな万が一に備える手段としてペット保険があることをご存じでしょうか?
人間には公的な医療保険制度がありますが、ペットにはそのような制度がなく、飼い主の経済的な負担は決して軽くありません。近年、そういったペットの治療費に備えて、ペット保険の需要が高まっています。
今回は、ペット保険の補償内容や注意点、選ぶ際のポイントについてご紹介します。
■ペット保険の補償範囲
補償範囲には一定のルールがあります。どのような場合に保険が適用され、どのような費用がカバーされるのか、また、人間との医療保険との違いについてもしっかりと理解しておくことが大切です。
基本的な補用内容
ペット保険がカバーする主な補償は入院、通院、手術といった医療費です。病気やケガにより動物病院で治療を受けた際、かかった医療費の一定割合を補償します。例えば、入院と手術で20万円かかった場合、70%補償のプランに加入していれば、自己負担は6万円で済み、残りの14万円は保険から支払われます。
人とペットの医療費制度の違い
私たち人間には、公的な保険制度があるため、医療費の自己負担は原則3割に抑えられています。さらに、ひと月当たりの負担額には上限も設けられており、急な病気や入院でも経済的な負担は軽減されます。しかし、ペットにはそうした制度が存在しません。つまり、ペットが病気やケガをした際の治療費は、全て実費となります。時には、予期せぬ入院や手術で、数十万円単位の出費が発生する恐れもあります。
対象となるペット
ペット保険の対象となる動物は、主に犬や猫が中心です。一部では、小動物や爬虫類などにも対応したペット保険も登場しており、動物の種類に応じた保険選びが求められます。
■ペット保険の仕組みと注意点
ペット保険への加入を具体的に検討し始めると、その仕組みや、見落としがちな注意点に気づくことがあります。ここでは、後悔しないために、事前に知っておくべきポイントを見ていきましょう。
保険料の仕組み
ペット保険の保険料は、多くの場合、ペットの年齢が上がるにつれて段階的に高くなっていきます。人間の生命保険などでは終身一律の保険料を設定できるプランもありますが、ペット保険の場合は、基本的に年齢とともに病気やケガのリスクが高まるため、それに応じて保険料も上昇する仕組みになっています。そのため、加入時の保険料が手ごろという理由だけで選んでしまうと、将来的に保険料の負担が重くのしかかってくる可能性があります。加入を検討する際には、現時点の保険料だけでなく、将来的に保険料がどのように変動するのかを事前に確認しておくことが肝心です。
保険期間と更新の注意点
ペット保険の保険期間は、そのほとんどが1年間で、毎年契約を更新していく形が一般的です。つまり、毎年更新のタイミングで、保険会社が継続の可否を判断することになります。ここで注意しなければならないのは、更新拒否というリスクが存在することです。ペットの健康状態や保険金の請求状況によっては、翌年度以降の更新を保険会社から断られてしまう可能性があります。一度更新を断られてしまうと、他の保険に新規で加入しようとしても、年齢制限や既往歴のために加入できないという事態も起こり得ます。プランを選ぶ際には、更新時の条件をよく確認しましょう。
加入年齢の壁
加入条件の中でも特に注意が必要なのが、加入年齢の上限です。多くの保険会社では、ペットが新規で保険に加入できる年齢に上限を設けており、一般的には7歳〜12歳程度までとされています。この上限年齢を超えてしまうと、基本的に新しい保険には加入できません。シニア期に差し掛かり、病気が心配になってから保険を探し始めても、選択肢が非常に限られたり、加入自体が難しくなったりする可能性があるため、なるべく早めに検討を始めることが大切です。
自己負担割合
ペット保険に加入すれば、動物病院でかかる全ての医療費がゼロになるわけではありません。必ず自己負担が発生します。例えば、補償割合70%のプランに加入している場合、動物病院でかかった治療費の70%が保険金として支払われますが、残りの30%は飼い主の負担となります。また、1回ごとに支払われる保険金の上限額や、年間の支払い限度日数・回数、総支払限度額なども定められています。これらの限度額を超えた分の医療費は、自己負担となるため注意が必要です。一部では免責金額が設定されている保険もあり、これは「この金額までは自己負担してください」というもので、免責金額以下の治療費の場合は保険金が支払われません。
■ペット保険の比較ポイント
ペット保険を選ぶ際、具体的にどこを見ればよいのか、比較ポイントを見ていきましょう。
補償割合
補償割合は一般的に50%、70%、中には90%などがあります。割合が高いほど自己負担は減りますが保険料は上がり、低いと保険料は抑えられますが自己負担が増えます。家計と許容できる自己負担額のバランスで選びましょう。
通院補償
ペットの病気やケガで最も利用頻度が高いのは通院治療かもしれません。プランによっては補償対象外だったり、入院・手術に比べ手薄だったりすることがあります。特に慢性疾患が心配な場合は、通院補償が充実したプランを選ぶと安心です。
年間の支払い限度額と回数
多くの保険には、年間の保険金総額や、入院・通院・手術ごとの利用回数・支払限度額が設定されています。高額医療にしっかり備えたいなら、これらの上限が高いプラン、もしくは、無制限のプランを検討しましょう。
保険料の上昇スケジュール
ペット保険料は年齢と共に上昇しますが、その上がり方はプラン毎に異なります。若い頃は安くてもシニア期に急上昇するプランもあれば、比較的緩やかに上昇していくプランもあります。将来の家計を見据え、保険料の変動を加入前に把握しておきましょう。
請求方法
請求方法には、提携病院で自己負担分のみ支払う窓口精算と、一旦全額支払い、そのあと保険会社へ請求する後日請求があります。窓口精算は便利ですが対応病院が限られることもあるため、事前にかかりつけ病院の対応状況や、後日請求の手間も確認しておくと良いでしょう。
■おわりに
ペットは大切な家族の一員です。病気やケガの際には、必要な医療をためらうことなく受けさせてあげたい。ペット保険はそういった飼い主の願いを支える商品でもあります。
とはいえ、ペット保険には多くの種類があり、仕組みも人間の保険とは異なります。どこまで補償されるのか、保険料は将来的にどう変動するのかといった情報をよく知った上で、ペットと自分達のライフスタイルに合った保険を選ぶことが大切です。
いざという時の、飼い主の備えの一つとしてペット保険を検討してみてはいかがでしょうか。
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