老後資金の心配はイメージで打破!不安感に立ち向かう方法

マネー

テレビなどでよく老後の資金問題が取り上げられ、定年後の生活に不安を感じる人も多いと思います。

しかし、不安が先行しているだけで実際の老後資金を試算している人は少ないのではないでしょうか。もしかしたら、将来の生活資金が不明確なために不安を感じているだけかもしれません。

今回は定年後の具体的な支出と、生活資金を見直すポイントをご紹介します。

■定年後の支出項目と改善点

年金支給は誕生日によって変わります。1日生まれなら誕生月に、1日以外なら誕生日の翌月から受給権が発生します。受給権が発生した日にすぐさま年金を請求したとしても、受給まで3か月ほどかかる場合があります。

定年後から年金支給日まで空白期間がある場合、”貯金や資産運用などで資金を確保しておく” “働いて収入を得る” “年金の繰り下げ受給” などを考えなければいけません。

そのためにはまず、支出項目の金額を予測しておくのがいいでしょう。

●水道光熱費

今まで出社していた時間帯も在宅するようになれば光熱費は上がるでしょう。

光熱費はポイント還元や、ガスと電気のセットプランなど様々な種類があるので、比較検討して自分に合ったプランを見つけましょう。

●住居費

持ち家なら老後にかかる修繕費に備え住宅ローンの繰り上げ返済をしておくことをおすすめします。国土交通省住宅局『令和4年度住宅市場動向調査』によると、リフォームをする場合には平均206万円が必要になります。

住み替えを選択肢に加える場合は、新たな住宅の購入費用や家賃を考慮しましょう。同調査によると、土地を含めて新たに新築注文住宅を購入するなら平均5,436万円、同じ土地に建て替えるなら平均4,487万円が必要になります。また、賃貸に住み替える場合には、平均月額78,069円の家賃と平均月額4,836円の共益費を想定する必要があります。

●介護や医療費

平均寿命と健康寿命には大体10年程の開きがあるとされています。(公財)生命保険文化センター『2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査』によると、介護費用として一時的に平均74万円、月額平均8.3万円が必要とされています。また2〜3か月入院した時に必要となるのは平均24.2万円となっています。

●税金および社会保険

年金収入だけでも、所得税や住民税が掛かる可能性があります。住民税は前年度を基に請求されるので退職1年目は注意してください。また、介護保険料も自動で年金から天引きされるので固定費に入れておきましょう。

健康保険は、国民健康保険または、家族の被扶養者に切り替えるなどの選択肢があります。

●保険料

更新型の定期保険の場合、老後に高額な保険料を払うことになります。更新がなく保険料が一定の終身保険に変更したり、払込期間が選べるプランを検討してもいいかもしれません。

●通信費

通信費の見直しは面倒だからとついつい後回しにしてしまいがちですが、今はネットでも気軽にプランの変更ができます。普段Wi-Fi中心で実は1GBしか必要ない人、LINE中心で実はあまり電話回線を必要としない人が、大容量のデータ通信プランやかけ放題プランを利用していると勿体ないですよね。

最近では0.5ギガのプランや毎月ポイント還元があるプランもあります。お得になるプランや携帯電話会社を選びましょう。

●教養娯楽

自分の裁量次第で一番金額が変わる項目でしょう。読書が趣味で毎月単行本を数冊購入する場合、数千円、1万円を超える月もあると思います。定年後は運動も兼ねて図書館に通ってみると、お金を掛けずとも新刊や普段書店では見れない本に出会えるかもしれません。

ファッション・美容・習い事など、ご自身の趣味に応じた予算に設定しておきましょう。

●交際費

総務省統計局の『2023年(令和5年)家計調査』によると65歳以上の無職世帯による交際費はひと月平均24,230円となっています。定年後は時間ができることで、友人と過ごす時間が増える可能性があります。友人も年金生活であれば、実はお互い負担に感じているかもしれません。金額を抑えれる楽しみ方を友人と話し合ってみるのもいいでしょう。

●家具家電

内閣府『令和5年3月 消費動向調査』によると家電製品の買い替えまでの使用期間はエアコン平均13.6年、冷蔵庫平均13年、洗濯機平均10.1年となっています。家電はいつ故障するか分かりません。運が悪いと2つ同時に買い替えが必要になる可能性もあります。あなたが老後に使用したい価格帯の家電を調べ、もしもの時のために貯めておくと安心できるでしょう。

●車

車での移動が必須となる地域に住みたい場合は、定期的に支出が発生します。なかでも買い替える際には、かなりの出費を要します。これからの事を考えて燃費は勿論、乗り降りのしやすさや、バックモニター付きの車などを選ぶといいかもしれません。車に乗る際は保険や車検、ガソリン代も生活資金に加えておきましょう。


定年後、ひと月いくらぐらいの生活費が必要になるのか見えてきましたか?

予測しづらい項目もあると思います。総務省による『2023年(令和5年)家計調査報告[家計収支編]』から65歳以上の無職世帯の家計収支をまとめてみましたので、参考にしてください。

■将来像とは

上記の表、総務省『2023年(令和5年)家計調査報告[家計収支編]』によれば65歳以上の無職世帯では収支が毎月平均3万円ほど赤字という結果がでています。貯蓄や資産に余裕があればいいですが、もしかしたら老後は趣味に勤しみ、友人と食事や旅行に行って、という枠に囚われ無理をしている人もいるかもしれません。

やりたいことも掛けられるお金も変わっていくものです。定年後、時間ができたら海外ドラマを一気見しよう、プラモデルを作ろうと後回しに積み上げても、時間ができた時には興味の対象が変わっているかもしれません。旅行もタイミングによって行きたい場所も変わりますよね。

住む場所も、定年後はずっと同じ場所で暮らすと思い込んでいるだけで、もしかしたら他の地域へ引っ越す選択肢も存在するかもしれません。もっと大きく言えば日本以外で余生を過ごしてもいいのです。

過去にできなかったことをするのではなく、自分が将来何をしたいか、どういう場所でどのような生活がしたいか、見つめ直してみると新たな価値観が生まれるかもしれません。

■おわりに

いかがでしたか? 老後の生活を細部までイメージすることで不安感が減少するはずです。ぜひ、今から家族と話し合って、いろいろな可能性を探してみて下さい。早ければ早いほど選択肢は広がります。

【参考資料】

国土交通住宅局『令和4年度 住宅市場動向調査報告書
(公財)生命保険文化センター『2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査
総務省『2023年(令和5年)家計調査報告[家計収支編]
内閣府『2023年(令和5年)3月 消費動向調査

執筆者:鍛治田祐子

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