夫婦で保険を選ぶ際、夫婦型の保険を選択肢に入れて検討している方もいるのではないでしょうか。1つの保険で夫婦2人を保障できる特徴を持った保険ですが、条件を十分に理解せず契約してしまうと、後で予期せぬ問題に直面してしまう可能性があります。
今回は加入前に知っておきたい夫婦型医療保険のメリットやデメリットについてご紹介します。
■夫婦型保険とは
夫婦型保険とは、主契約に特約を上乗せして配偶者の保障を付加したタイプの保険です。
この保険では、主契約者(夫または妻)を”被保険者”、被保険者の配偶者を”従被保険者”と呼びます。
保障内容は主契約を基準に設定され、従被保険者の保障額は主契約の60%程度となります。
例えば、被保険者の入院日額が10,000円だった場合、従被保険者の入院日額は6,000円となります。
■夫婦型保険のデメリット
従被保険者の保障の消滅
夫婦型保険では、主契約者である被保険者が死亡すると、従被保険者の保障が消滅してしまいます。例えば、夫を主契約者として加入した場合、夫が亡くなると、その後の妻の保障も失われます。
また、夫婦が離婚した場合においても同様です。夫婦型として一緒に加入できるのは、夫婦もしくは内縁関係にあるパートナーに限られており、恋人や離婚後の元夫婦は契約上、第三者として扱われるため、従被保険者としての保障が受けられません。
従被保険者の保障が失われた後、新たに保険に加入すると、年齢や健康状態によっては保険料負担が大きくなったり、加入そのものが難しくなる可能性があります。
個別の保険の見直しが難しい
1つの契約で夫婦2人の保障をカバーしているため、個別に保障内容を見直すことは難しくなります。例えば、主契約者である夫が入院日額を10,000円から5,000円に減額した場合、従被保険者の妻の保障内容も自動的に減額され、入院日額が6,000円から3,000円に下がってしまいます。
また、主契約を解約すると特約も同時に解約されてしまうため、夫が解約すれば妻の保険も解約することになります。
従被保険者は生命保険料控除を使えない
一般的に特約を含めた保険料は、主契約者が支払うものとされています。従被保険者は保険料を支払っていないとみなされ、生命保険料控除を受けることができません。
そのため、共働き世帯では個別に加入しているケースより税制面で不利になる可能性があります。夫と妻それぞれが所得税や住民税の軽減のメリットを得たい場合は、個別に加入する必要があります。
■夫婦型保険のメリット
保険料が割安
夫婦型保険は、夫婦が個別に保険を契約する場合に比べ、トータルの保険料を抑えられる傾向にあります。家計の負担を軽減したい家庭にとって、魅力的な選択肢と言えるでしょう。
保険の管理をしやすい
1つの保険契約で夫婦2人分の保障がまとめられているため、加入手続きや保険証券の管理が手間も省けます。保険証券が1枚に統一されることで、必要な時にすぐに確認できる利便性もあります。
■夫婦型保険に向いている夫婦
夫婦型保険は、一方が高収入でもう一方が低収入の場合には有効な選択肢となります。例えば、夫が高収入で妻が低収入であれば、夫が主契約者として保険料の大部分を負担することで、妻への経済的負担を軽減できます。これにより、家庭全体の財務バランスをとりやすくなります。また、二人の保険を夫の生命保険料控除にまとめることで、戦略的な節税に繋げることもできます。
■おわりに
いかがでしたか? 夫婦型保険は、保険料の割安感や管理のしやすさといったメリットがありますが、従被保険者の保障が主契約者に依存しているため、慎重に検討する必要があります。特に離婚や主契約者の死亡といった事態に備えるためにも、加入前に条件をしっかり確認し、パートナーと十分に話し合うことが重要です。デメリットを把握した上で、夫婦型保険を賢く活用し、安心できる保障を手に入れましょう。
コメント