日々の生活の中で試供品や無料サンプルの配布などに出会った際、あなたならどうしますか。「タダだしちょっと試してみよう」と、何も考えずに受け取ってしまう人も多いでしょう。ですが、あなたも知っているはずです。無料の商品やサービスのあとには、有料の商品やサービスが息をひそめていることに。
今回はそんな”とりあえず受け取ってしまいやすい人”を対象に、無料の商品やサービスを警戒すべき理由を紹介いたします。
■返報性の原理
人には何かをしてもらうとお返ししたくなる心理現象があります。これを”返報性の原理”といいます。
1971年、心理学者デニス・リーガン博士は恩返ししたくなる心理はどれほど強力なのか調べるために、ある実験を行いました。
まず、参加者には芸術鑑賞の実験と称して、2人1組で絵画を評価してもらいます。2人の内1人は被験者、もう1人は博士の協力者です。
協力者は芸術鑑賞の休憩時間中に飲み物を買いに行くのですが、各被験者に次の行動をとります。
行動パターンAは、2本の飲み物を購入して被験者に1本渡す。
行動パターンBは、協力者自身の飲み物だけ購入する。
そして、芸術鑑賞が終わると協力者は被験者に対して、「1枚25セントのくじを購入して欲しい」とお願いします。その結果、協力者への好感度に関わらず、飲み物を渡された被験者は、何も渡されなかった被験者に比べて約2倍の枚数を購入したのです。
このことから、好感度に関係なく”何かをもらうと何かを返したくなる”心理が、多くの人の行動に影響することがわかります。
■返報性の原理を用いたマーケティング手法
「何も返さない人間は恩知らず」と扱われるのを恐れるあまり、とりあえず何かお返しをしようとしてしまう人は注意が必要です。
例えば、食品売り場の試食コーナーで子供がお肉を食べ、試食したからには何か買わないといけないと思ってしまうのも、この心理が働いているからです。
他にも、化粧品カウンターでカウンセリングをしてもらった時に薦められるままに買ってしまったり、エステのお試し体験を利用したら有料コースを申し込むことになったりするのも同じです。
これらは企業側が返報性の原理を利用したマーケティングの手法であり、私達のお返ししなければいけないという心理に働きかけているに過ぎません。必要のないものであれば、しっかりと断ることが大切です。
■おわりに
いかがでしたか? 無料の商品やサービスというのは親切ではなく、ありがた迷惑な販売手法だと意識すれば断る勇気を持てるかもしれません。断れずについつい購入してしまう人は是非、意識してみてください。
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