前回に引き続き、トランプ2.0政権のお話です。今回は、歳出削減目的で新設される省庁『政府効率化省(DOGE)』や政府の無駄遣いを報告書にした『Festivus Report』など連邦予算を削減する内容をクローズアップします。
政府効率化省(DOGE)の新設
政府効率化省(以下、DOGE)は、トランプ2.0政権の開始とともに新設される予定の省庁です。DOGE は、イーロン・マスク氏とヴィヴェック・ラマスワミ氏が共同責任者として連邦予算から2兆ドルを削減をはじめ、官僚制度の解体も計画しています。
イーロン・マスク氏といえば、スペースXやテスラのCEOとしての活躍のほか、旧Twitterを買収後に従業員の約80%を削減するという前代未聞の大量リストラを行ったことで、日本でも何かと話題になる人物です。この大胆なリストラからも容易に想像できる通り、マスク氏は政府の無駄な支出を批判してきた経緯があります。
一方、ヴィヴェック・ラマスワミ氏はバイオテックスタートアップ企業である Roivant Sciences の創業者です。新しい薬や治療法を開発したり、子会社を作ってそれぞれの子会社が特定の医薬品や技術を開発・商業化したり、臨床実験をするような医薬品関係の実業家です。ラマスワミ氏は過去に共和党予備選でトランプ氏と戦った経緯があり、その際、連邦政府職員の75%以上解雇やいくつかの主要連邦機関(教育省、連邦捜査局(FBI)、アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局など)の閉鎖を主張していた経緯があります。
この2人が率いる DOGE のアドバイザーとして任命されたのは元下院議員のロン・ポール氏で、中央銀行廃止論者として有名です。
アルゼンチン大統領 ハビエル・ミレイ氏に注目
イーロン・マスク氏、ヴィヴェック・ラマスワミ氏、ロン・ポール氏が実際、どのようにして2兆ドルもの歳出を削減するのかは分かりませんが、世の中には規模こそ違えど似たような政策を成功させた人物がいます。
それが2023年12月にアルゼンチン大統領として就任したハビエル・ミレイ氏です。ミレイ氏は大統領就任後わずか半年で国際通貨基金(IMF)から「期待以上」の政権だと評価され約8億ドル(当時約1250億円)の支援が決まったり、就任後1年で長らく続いていた財政赤字を脱却したという実績を残しています。そのことを受けて、マスク氏とトランプ氏がミレイ氏に注目し、2024年11月には3人が会合していた写真も掲載されました。
『THE FESTIVUS REPORT 2024』
前述のロン・ポール氏の息子で上院議員のランド・ポール氏は、年末に『THE FESTIVUS REPORT 2024』を発表しました。このレポートは、政府の無駄遣い報告書などと訳されており、無駄だと思われる政策内容およびそれに要した費用が記載されています。
32個の項目があったので下記スライドショーにて紹介します。
(スライドショーの情報に補足を付けたPDF版もあります)
ランド・ポール氏が書いた32個の無駄遣いを全てを合算すると1兆ドルを超えますので、DOGEが目指す2兆ドルの削減も夢ではないかもしれません。
おわりに
イーロン・マスク氏、ヴィヴェック・ラマスワミ氏、ロン・ポール氏のDOGEがどのように2兆ドルの歳出を削減していくのか、また日本も同じような取組みになっていくのか、今後の動きに注目していきたいですね。
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