結婚を機に保険を考えるためのヒント集

マネー

結婚を視野に入れ、将来家族が増えることを考え始めたとき、保険の加入や見直しを検討する方も多いのではないでしょうか?
独身時代には必要なかった保障も、結婚で家族が増えれば、新たに必要となる場合もあります。共働きか片方だけが働くのか、住宅購入や子どもの教育資金など、家庭環境や将来の計画によって適した保険はさまざまです。
今回は、ライフステージが変わるタイミングで保険の見直しのヒントをお伝えします。

■結婚を機に加入を検討する保険一覧

結婚を切っ掛けに、よく検討される保険には次のようなものがあります。

これらの保険すべてに加入する必要はありません。家計やライフスタイルを考慮し、優先順位をつけて選んでいきましょう。

■保険の選び方・見直し方

保険を選ぶ際は、自分たちの家族構成や将来の計画を見据え、「本当に必要な保障は何か」を見極めることが重要です。

以下に各種保険を選ぶ際のヒントをまとめました。

1.生命保険のヒント
生命保険が不要なケース

生命保険は、万が一の際に家族が生活を維持するための保障です。

しかし、以下の条件をすべて満たす場合は、生命保険は不要と判断できるでしょう。
・夫婦ともに収入があり、どちらかが死亡しても遺された方が自立して生活できる。
・葬儀代や相続税を支払えるだけの十分な貯金がある。
・住宅ローンを組んでいる場合、団体信用生命保険に加入している。

また、必要保障額を求めることでも加入を判断することができます。

生命保険の必要保障額の考え方

生命保険で備えるべき必要保障額は、”一生分の収入”と”一生分の支出”を把握することで求めることができます。

結婚した段階で一生分の支出をイメージするのは難しいと思いますが、大まかな見積もりからでも考えてみると、加入の目安が見えてきますよ。

2.医療保険のヒント
ほとんどの病気やケガは健康保険があれば大丈夫

日本では医療費の負担を軽減するためのさまざまな仕組みがあります。

健康保険を利用すれば、医療費の自己負担は原則3割となっており、金額が大きくなる際は高額療養費制度が適用されるため、一定額以上は負担する必要がありません。また、会社員であれば病気やケガで休業に至った場合、生活費のサポートとして傷病手当が支給されます。さらに、医療費が多く発生した年には、医療費控除を利用することで税負担を軽減できます。万が一、障害を負った時には障害年金を受け取ることもできます。

公的な制度を活用すればほとんどのケースをカバーできるため、貯金が十分ではない、直系血族に既往歴がある場合などを除けば、必要以上の医療保険に加入する必要はないかもしれません。

入院日額の考え方

例えば、会社員で月給30万円の夫とパートで月給8万円の妻という世帯構成で、生活費が25万円、1ヶ月入院して医療費が100万円だったケースを考えてみましょう。

夫が入院した場合、高額療養費制度を利用すれば自己負担額は約9万円になります。また、傷病手当として月給の3分の2である20万円が支給されます。このことから、傷病手当20万円+妻の月給8万円-生活費25万円-医療費約9万円=約6万円のマイナスが発生します。 

一方妻が入院した場合、医療費は高額療養費制度を利用することで自己負担額は夫と同じく約9万円で抑えることができますが、扶養として夫の健康保険に加入していると、傷病手当が支給されないため、収入の補償がありません。したがって、夫の月給30万円-生活費25万円-医療費約9万円=約4万円のマイナスが発生します。

このような不足分を貯蓄ではなく保険でカバーする際には、個室やテレビ等の付加的なサービスを利用しないのなら入院日額5,000円もあれば十分でしょう。

3.子どもの保険のヒント
児童手当や貯金で対応可能かを考えよう

子供が1人だけで児童手当を全て貯金できた場合、中学校を卒業する段階で198万円貯めることが可能です。

子どもの大学進学を見据えた際には、児童手当以外にも資金を確保しておく必要があります。国公立では4年間で250万円程度、私立では4年間で400万円から600万円程度、私立の医歯系では数千万円の資金が必要になります。

教育費が貯まらない場合は保険を使おう

貯金だけでは心もとない場合には、保険を活用して備える方法もあります。学資保険や低解約返戻金型終身保険を利用すると、計画的に資金を準備することができ、途中解約しなければ払い込み保険料よりも多くのお金を受け取ることができるためおすすめです。

4.団体信用生命保険のヒント
住宅ローンを組むなら加入は必須

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの名義人に万一のことが起きた場合、代わりに残りのローンを完済してくれる保険です。これにより、家族が住まいを失うリスクを避け、安心して暮らすことができます。殆どの金融機関では住宅ローンを組む際、団信の加入が必須条件となっています。

団体信用生命保険の代替案

団体信用生命保険は他の保険同様、加入時に健康状態についての審査があります。もしも団信に加入できない、加入しない場合には別の方法で備えておくことが大切です。

団信の代わりに使える保険としては、収入保障保険があります。収入保障保険とは団信保険のように、被保険者の万が一の事態に備えた死亡保険です。住宅ローンの返済額が減少していくように、保険期間が経過するにつれ保障額が減少していく特徴があります。

5.個人年金保険のヒント
老後の生活をイメージしよう

老後の生活を支えるには、どれくらいの収入が必要で、どのくらいの支出が発生するのかを具体的にイメージすることが重要です。

例えば、総務省によると65歳以上の無職世帯の家計収支は、夫婦でも単身者でも毎月2万円不足するとされています。

この差を埋めるためには計画的に準備しておく必要があります。

老後資金が不安なら個人年金保険を検討しよう

保険を活用して不足分を補いたい場合は個人年金保険を利用すると、契約時に定めた期間、年金としてまとまったお金を受け取ることができます。

個人年金保険以外にも老後資金を準備する選択肢としてiDeCoがあります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金の準備を目的とし、自分で掛金を積み立て、運用する制度です。運用益が非課税となり、掛金は所得控除の対象となるため節税のメリットがあります。ただし、原則として60歳まで資産を引き出せないため、利用する場合は注意が必要です。

■おわりに

いかがでしたか? 結婚はこれからの将来についてしっかりと考える絶好のタイミングです。たくさんの選択肢があって迷うこともあるかもしれませんが、是非この機会に、パートナーと一緒に必要な保障や優先順位を話し合ってみてください。

【参考資料】
総務省『家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要

執筆者:鍛治田祐子

■ファイナンシャルプランナー

【保有資格】CFP®認定者 1級ファイナンシャルプランニング技能士

隙間時間にサクッとお金の勉強を。
気軽に読めるマネーコラムを執筆中!

鍛治田祐子の他の記事を見る 

コメント

タイトルとURLをコピーしました