年末年始は、贈り物・帰省・イベントなどで出費が重なる時期です。
「まとまったお金が必要だけれど、すぐには用意できない」
そんな状況からリボ払いの利用を検討する人も少なくありません。さらに、キャンペーンにつられて深く考えないまま申し込んでしまうケースもあります。しかし、仕組みを正しく理解しないまま使うと、手数料が膨らんだり返済が長引いたりと、思わぬ負担につながることがあります。
そこで今回は、リボ払いの基本と注意点をわかりやすく解説します。
リボ払いとは?
リボ払いとは、クレジットカードの支払い方法の一つです。
最大の特徴は、いくら使っても毎月の支払額が一定になることです。
例えば、先月10万円・今月5万円使っていても、毎月の支払額を2万円(+手数料)と設定していれば、その金額が請求されます。
表面上の支払額が変わらないため家計管理はしやすい一方で、残高がどれだけ積み上がっているか気づきにくいという面もあります。
なお、同じく分割して支払う方法として分割払いがありますが、こちらは「3回払い」「6回払い」など支払い回数を指定する方式で、返済期間が明確です。
- 分割払い:回数を選ぶ
- リボ払い:月々の支払額を選ぶ
という点が大きな違いがあります
リボ払いでも支払い方式は複数ある?
リボ払いを理解するうえで、重要なのは
- 手数料(利息)の仕組み
- 毎月の支払額がどう決まるか
です。
まず、手数料から確認しましょう。
支払残高に対して手数料がかかる
リボ払いでは、支払残高に対して毎月手数料(利息)がかかります。
多くのカード会社では、実質年率15〜20%前後に設定されており、残高が多いほど手数料の負担は大きくなります。
重要なのは、返済が長引くほど手数料が積み重なるという点です。
また、リボ払いには複数の返済方式があり、方式によって返済ペースや最終的な支払総額が変わります。
① 定額方式(毎月の支払額が一定)
毎月の支払額が常に固定される方式です。
さらに、手数料の扱いによって次の2種類に分かれます。
下記の例でそれぞれの返済額を確認してみましょう。
手数料:250円
毎月の支払額:20,000円
元利定額方式(毎月の支払額の中に手数料も含まれる)
毎月の支払額に手数料が含まれるため、一定額をキープしやすい方式です。
例)元金返済:20,000円-250円=19,750円、手数料:250円
請求額:19,750円+250円=20,000円
手数料を差し引いた残りだけが元金の返済に使われるため、残高が多い時期は手数料の割合が大きく、元金がなかなか減らないため、返済が長期化しやすいのが特徴です。
元金定額方式(毎月の元金部分が固定され、手数料は別に加算)
毎月きっちり元金が減るため、総支払額を抑えやすい方式です。
例)元金返済:20,000円、手数料:250円
請求額:20,000円+250円=20,250円
元利定額方式と比べ、返済終了までの見通しを立てやすい点がメリットです
② 残高スライド方式(残高に応じて支払額が変動)
支払残高の大きさによって、毎月の支払額が増減する方式です。
例)下記の設定の場合、残高が10万円を超えている期間は支払額が増え、残高が減ると再び支払額が少なくなります。
- 残高10万円未満 → 月10,000円
- 残高10万円以上 → 月20,000円
残高が多い時期はしっかり返済が進みますが、残高が少なくなると支払額が下がり、最終的な返済期間を把握しづらい特徴があります。
カード会社により設定が異なるため、契約内容の確認は必須です。
リボ払いの注意点
リボ払いは毎月の出費を一定にできるというメリットがある一方、計画的に利用しないとデメリットが大きくなります。
ここでは特に注意すべきポイントを紹介します。
① 手数料が高額になりやすい
手数料は利用残高に対して毎月発生するため、返済が長期化すると手数料総額が大きく膨らみます。
特に元利定額方式では、毎月の支払額に占める手数料の割合が大きくなり、元金が減らず「支払っているのに残高が減らない」現象が起こりがちです。
② 残高を把握しづらい
毎月の支払額が一定というメリットは、そのままデメリットにもなります。
新たに買い物をしても支払額が増えないため、負担感が薄く、知らないうちに残高が増えているという事態になりやすいのです。
限度額ギリギリまで使ってしまう例も少なくありません。
賢いリボ払いの使い方
すでにリボ払いを利用している人や、これから利用するかもしれない人は、次の点を押さえておきましょう。
① 自分の返済方式を把握する
まずは、自分のカードが
- 元利定額方式
- 元金定額方式
- 残高スライド方式
のどれを採用しているか確認しましょう。
さらに、手数料率・月々の支払額・利用可能枠なども把握しておくと安心です
② 繰り上げ返済を活用する
手数料は残高に応じて発生するため、残高を減らすほど負担を抑えられます。
余裕がある月に繰り上げ返済を行えば、翌月以降の手数料を減らせるだけでなく、返済期間の短縮にもつながります。
③ 残高管理を徹底する
毎月、利用明細で
- 現在の残高
- 手数料
- 支払予定額
をチェックする習慣をつけましょう。
ポイント還元やキャンペーンが魅力的に見えても、手数料の負担がそれを上回ってしまうこともあります。
リボ払いは、使うほど残高が増える仕組みであることを忘れないようにしましょう。
おわりに
リボ払いには、一時的に家計を助けてくれる側面があります。しかしその裏では、手数料が高く、返済が長期化しやすいリスクを抱えています。
とくに収支管理が苦手な人にとっては、想像以上に負担が大きくなる場合があります。
どうしても利用する際は、返済方式の理解と、積極的な繰り上げ返済が欠かせません。また、カードによっては初期設定やキャンペーン利用時に自動でリボ払いが適用されていることもあります。
「気づいたらリボ払いになっていた」というケースも少なくないため、明細や支払い設定は定期的に確認しておきましょう。
【参考資料】
一般社団法人日本クレジット協会『リボ払いの特徴と利用上の注意』


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