今回は、S&P500を絡めながら”個別銘柄の選択が難しい理由(≒ベンチマーク1択でよくね?)”というテーマでお送りします。
個別銘柄の選択が難しい理由
理由1:効率的市場仮説
株式市場には”効率的市場仮説”という言葉があります。
ざっくり説明すると、現時点での最新情報全て(有名な投資家があの銘柄を売買したとかあの企業が不祥事を起こしたとか隠れたインサイダー取引とか、ありとあらゆる情報)が株式市場に織り込まれているため、リスクに見合う以上のリターンを得ることはできず、株価の予測は不可能であるという学説のことです。
この仮説が正しいとするなら「たとえ専門的な知識や技術を持ち合わせるプロが独自で銘柄を選別した運用であっても、市場平均に勝つのは難しい」ということを意味します。
理由2:30年間ずっと7.98%の運用実績が必要
理由1の裏付け的な情報になりますが、過去30年のS&P500の伸び率を見ると、1990年10月の終値は304ドル、2020年9月の終値は3,331.84ドル(※確認時間:日本時間2020/09/09 15:30頃)で、約10倍になっていることが分かります。
同様に、自分の資産を30年間で10倍にするためには、複利で約7.98%で運用し続けなければなりません。
投資経験がある人であれば、なかなかに難しい数値であることが理解できるかと思います。
理由3:5.03%の確率を見抜けるか
バートン・マルキール氏の『ウォール街のランダム・ウォーカー』という書籍によると、次のことが書かれています。
- 1970年には358本の株式投信があった。
- 2013年には上記の274本が消滅した。
- 消滅を免れた84本のうち、S&P500より利回りが1%以上良かったのは、18本だった。
つまり、市場平均より良い成績を出せたのは、358本中18本で、その確率は約5.03%です。
仮に、読者の皆さんが1970年に投資できる状態だったとして、この5.03%を見極めることはできたでしょうか?
筆者には無理……。
もうS&P500でいいや……
上記に挙げた理由を見て、「個別銘柄を選ぶのってなんだかめんどくさそうだな」「もうS&P500のインデックスファンドやETFでいいような気がするな」と思った人のために、それらのファンドやETFを少しだけ紹介しておきます。
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド
信託報酬:0.0938%
運用会社:SBIアセットマネジメント
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
信託報酬:0.0968%
運用会社:三菱UFJ国際投信
iFree S&P500 インデックス
信託報酬:0.2475%
運用会社:大和アセットマネジメント
バンガードS&P500ETF
経費率:0.03%
※同じバンガードの<VTI>も中身はほぼ同じです。
SPDRポートフォリオ S&P500 高配当株式ETF
経費率:0.07%
※高配当に絞られているため売却益よりも配当重視の長期投資向きだと思います。
おわりに
コロナのように世界規模の経済大爆死といった例外が起これば、今もなおスグに短期売買に向けた投機を仕掛けてしまう筆者ですが、最近になってようやくS&P500などベンチマーク追従型にも魅力を感じるようになってきました。次回は、「それでも個別銘柄を選択したいアナタへ」というテーマでお話します。
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